越前そばといえば、「越前おろしそば」が良く知られています。福井で栽培されたそばで打った麺に、大根おろしや花かつお、刻みネギなどの具材と汁をかけて味わう、おいしいそばです。
越前そばは「おろしそば」だけではありません。そばの麺を器に盛っただけの「もりそば」や、温かい汁と一緒に味わうそばなど、いろいろな食べ方があります。
まずは、代表的な「おろしそば」の食べ方をご紹介しましょう。

【まず、麺だけを味わってください】
そば屋さんで「おろしそば」を注文すると、そばの麺と汁を、別々の器に入れて提供する店と、最初からそばに汁をかけた状態で運んでくる店があります。
どちらの場合でも、最初にまず、汁のかかっていない麺だけを数本選び、箸でつまんで味わってください。
こうして麺だけを食べると、何層にも重なった穀物の深みのある味わいや、福井のそばならではの豊かな香り、後から追いかけるように舌を包む甘さを、しっかりと感じることができます。
この味や香りは、福井の地で昔から栽培され続けている「福井在来」ならではの特徴です。繊細な麺の魅力は汁を付けると、汁の味の方が強いため、隠されて、わかりにくくなってしまいます。せっかく福井在来を食べるのですから、その味をしっかり感じていただきたいのです。
「なるほど福井在来は、他の地域で食べるそばとは違って、こういうふうにおいしいのだ」と、お分かりいただけたら、次に汁をかけて、麺と汁とのハーモニーを楽しんでください。大根おろしや花かつおなども混ぜ込みながら口に入れると、先ほど食べた麺の味をベースに、大根おろしなど、具材の味わいが、そばと一体になって、複雑で同時に繊細、なおかつインパクトのある「おろしそば」ならではの世界に、あなたを導いてくれるはずです。

【もりそばは、本当のそばの味を堪能できる食べ方です】
そばの食べ方は、いろいろありますが、そば好きの方が最も好むメニューは「もりそば」だと言われています。「もりそば」とは、器にそばを盛っただけのシンプルなメニュー。このそばを箸で適量、持ち上げて、そば猪口に入れた汁につけて食べます。
なぜ、そば好きは、「もりそば」を好むのでしょう。
それは、「もりそば」は他の具材などの影響を受けずに、そばそのものの味を楽しむことができるからです。
温かい汁に入った「かけそば」なども、おいしいですが、そばの麺は汁に入ると、どうしても汁の味が影響してきて、麺そのものの味が分かりにくくなってしまいます。温かい汁に入ったそばは、麺の味を楽しむという食べ方から、一歩下がって、汁の味と麺の食感の組み合わせを楽しむ料理だと、お考えください。
だから、温かい汁に入ったそば、「かけそば」などは、麺よりもむしろ、汁が主役の料理だということさえできるのです。
そば屋さんは、そこを良くわかっていて、冷たいそばをつけて食べるそば猪口に入った汁(つけ汁)と、丼に入ってそばを沈ませる汁(かけ汁)は、別の作り方をします。
凝った店では、返し(醤油と砂糖を合わせたもの)も、出汁(鰹節や、その他の節からとるダシ)も、冷たいそばと温かいそばでは、まったく別の作り方をするのです。
だから、そば屋さんに入ったら、冷たいそばと温かいそばの2種類を味わってみることをおすすめします。こうすると、そば屋さんが、どういうおいしさをお客さんに味わって欲しかったかが、分かります。その店のそばの「世界」が見えてくるのです。これが、いろいろなそば屋さんを巡って味を楽しむ、そば屋巡りの醍醐味とも言えるのです。
福井のそば屋さんのメニューに「もりそば」があったら、ぜひ、味わってみてください。「福井在来」という、日本一おいしいそばの材料を使う越前そばだからこそ、「もりそば」を味わうことには特別の意味があります。
上手に作られた「越前もりそば」は、日本そば本来のおいしさを備えているのです。
※「もりそば」とは器に盛っただけのそばのことなので、「せいろそば」や「ざるそば」も、「もりそば」に含まれます。
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